シニアライフ

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現代のペット社会は、良質のフード、獣医学の進歩、飼育環境の変化、飼い主さんの知識・意識向上などから人間同様に長寿傾向にあります。 その一方で老化に伴う病気も増えてきているのも事実です。
急に怒るようになった、できていたことができなくなった、そんなときは叱りつけるだけでなく、その子の変化に気を配りましょう。
目が見えにくかったり耳が遠くて恐いのかもしれません。どこかが痛くて神経質になっているかもしれません。もしかすると痴呆の症状ではありませんか?
病気の早期発見・早期治療はもちろん、病気の予防や痴呆(ボケ)防止も含め、快適なシニアライフを送れるようお手伝いさせていただきます。
シニアライフ=老後や末期のケアは、単に命を長引かせるものではなく動物の生活の質(QOL)を向上させ、動物たちと家族が有意義な時間を過ごすためのものです。

シニアだとどうなる?

個体差、品種別差はありますが、シニア期は7歳ぐらいからといわれます。
もちろんシニア期になったからすぐに病気になるというわけではありません。
壮年期(5~6歳過ぎた頃)から徐々にいろいろな機能が低下し、年齢を重ねるにつれ症状が出たり進行して、気づいたときには悪化していて、シニア期での発見につながっていると思います。(年齢換算
定期的に健康診断を行ったり、注意深く観察しておくことが大切です。
健康診断には、わんにゃんドックをご利用下さい。

シニアだとどうなる?

観察ポイント

毛や皮膚の検査

若い頃に比べて色が薄くなった…なんてことありませんか?
動物も年とともに白髪がでてきます。全身真っ白って事はないでしょうが、見た目には老けた感じがするでしょう。
一方で脱毛は起こりません。病気ですので早めに診察を受けましょう。
その他、毛づやにも気を配りましょう。
腫瘍ができていないか、表面だけではなく皮膚の下も観察しましょう。
口の中や目・肛門周囲も見落としがちですが、腫瘍がよくできる場所です。

体型

どんなにしっかり食べていてもやせてきたり、そんなに食べていないのに太ってくるのは、甲状腺や副腎等のホルモンの病気や癌など慢性疾患の可能性があります。 また、病気でなくても肥満は万病の元です。

肥満の5段階評価(犬猫共通)

体型 体型

食欲

食欲がないのは歯周病や内臓疾患などの病気かもしれません。
逆によく食べていても、実は異常な食欲ということもあり糖尿病やホルモンの病気などがあります。
際限なくフードをほしがる場合、痴呆の可能性もあります。変化を見逃さないように気をつけましょう。
また、食欲はあっても、その後吐くようなら早く受診しましょう。

口臭

歯石の沈着による歯周病、口内炎があると口臭がきつくなります。
歯石だけでなく、腎臓病や糖尿病、ウィルス感染など、他の病気が原因で口内炎になることも多いため、症状に気づいたら早めに受診しましょう。

飲水量

糖尿病、腎臓病、ホルモンの病気等があると、多量の水を飲み、多量の尿を出す、多飲多尿の症状が続いて認められます。
疑わしい場合は一度飲水量を計ってみたり、病院で尿検査をするなど相談しましょう。

便・尿の状態

飲水量に伴う尿量のほかにも便・尿の出方も観察しましょう。
去勢していない雄犬では前立腺が肥大して、尿漏れや排尿異常が見られる場合があります。
前立腺が直腸を圧迫するようになると排便障害やしぶりなどが生じることもあります。
その他、血液が混じると尿・便の色や臭いが変わることもあります。

運動量

高齢になると寝ている時間が長くなります。
しかし、運動を嫌がったり、元気がない場合は、老化だけでなく、慢性病の進行の他、関節が痛くて動かない、白内障や核硬化症により目が見えにくいから動くのが怖い、爪が伸びすぎて滑るため歩きにくいなどが潜んでいることもあります。
一度、獣医師に確認してもらいましょう。関節や目に良いサプリメントが動物用でも販売されており有効なことがあります。
呼吸が荒い、咳をするなどを伴うようなら、すぐに獣医師に診てもらいましょう。

行動の変化

教えていた「お手」などが出来なくなった、トイレの失敗、耳が遠くなり呼んでも反応しない、夜鳴きするなどの痴呆の症状が現れてくるかもしれません。

早期発見・早期治療

まずは飼い主さんによる日頃の観察が一番です。
しかし、心臓や内臓の変化は表に出にくく、気づく頃には進行している場合があります。
6歳を過ぎた頃から年に一回はわんにゃんドックを受けることをおすすめします。

予防

食餌管理

まずは
①良質なシニアフードを、
②適切に(その子にあった量と回数)、
③与え方を工夫することで予防しましょう。
治療(進行予防)にはサプリメントのオメガ3,5,9,等、老齢期に有効といわれる製品を当院でも使用しています。

刺激

適度な運動やマッサージ、スキンシップ、ブラッシングなどで老いない体と頭を作りましょう。
散歩は関節炎の進行を遅らせたり、寝たきりを防ぎます。
また、歩けなくなった犬でも、抱っこ散歩で外界の刺激を受けることが痴呆の遅延効果をもたらします。
日光浴により夜鳴きの軽減も期待されます。

環境の整備

痴呆でくるくる回ってしまう場合は、ぶつかってケガをしないように円形のサークルの利用が効果的です。
また、関節に負担のかからないよう、滑り止めマットをひいたり、小まめな爪切りをするのも良いでしょう。
排泄の上手くできない子では皮膚に汚れがついてしまい炎症を起こすことがあります。
オムツを使用していても清潔にする事を心がけましょう。
寝たきりの子では、オムツよりもペットシーツですぐに変化に気づけるように、またコマメな体位変換で床ずれを予防しましょう。
散歩の時にしか排泄をしない子はシニア以前から屋内での排泄を教えておくのもいいかもしれません。

ワクチン接種などの予防医療

高齢になると免疫力も弱ってきます。
しっかりとした予防スケジュールをたてることで、防げる病気は確実に防ぎましょう。

※なりやすい病気
白内障、歯周疾患、慢性心不全、糖尿病、変形性関節炎、痴呆、子宮蓄膿症(雌犬)、乳腺腫瘍などの腫瘍、慢性腎不全、慢性肝炎、
副腎皮質機能亢進症・低下症、甲状腺機能低下症(犬)、甲状腺機能亢進症(猫) 、前立腺肥大・肛門周囲腺腫(雄犬)、胃捻転(大型犬)など

担当:小村獣医師 監修:春日部獣医師

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