僧帽弁閉鎖不全症

咳がでる原因には、色々なことが考えられます。

①ヒトで言えば風邪のような一過性の上部気道感染症や気管の病気
②アレルギーなどによる喘息・肺炎などの、主に呼吸器病に分類される疾患
③心臓からの咳

この中で、特に心臓からの咳は、非常に危険な咳であると言えます。
この咳を出す心臓病の代表としては、僧帽弁閉鎖不全症(MR)(図1)があります。
参考までに正常な犬の心臓は(図2)となります。

図1:僧帽弁閉鎖不全症(MR)
図1:僧帽弁閉鎖不全症(MR)
図2:正常な犬の心臓
図2:正常な犬の心臓

ではこの心臓が悪いときに、なぜ、咳が出るのでしょうか?
これは、主に下記の3ヶ所の問題から咳を生じます。

・ 左房が拡張して気管支や気管分岐部を圧迫。
・ 肺静脈がうっ血することによる気管支の圧迫。
・ 肺水腫により咳が生じる。

このように同じMRであっても様々な問題を生じる可能性があります。
従って、治療内容も病態に合わせて調整する必要があります。
最近、咳が出て、なんだか元気がない。
こんな症状がある場合、ぜひ、動物病院での診察をお勧めします。

獣医師:村田 裕史

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